同社は故人のし好が色濃く出る自宅葬の広がりと、普通 の祭壇は「一般家庭では大きくて扱いにくい」
という声を元に今年3月、一畳分の省スペース枢収納型祭壇「一畳くん」を発売した。今回は、これに
続く第二弾で、「利用者の選択肢を広げ たい」(川道社長〕と開発した。「半畳くん」はレンタル専用で
横幅90cm、奥行き45cm、高さ130cmで一畳くん」の4分の1の大きさ。液晶テレビを使い、故人の
写真やビデ才を取り込んだ省スペース型遺影映像機「液晶くん」も設置できる。また「偲ぶちゃん」は
壊れにくい大理石を使用しており、横幅と奥行きが各30cm高さ27cm。花やろうそく立てなどの具足も
注文で付けられる。二つ製品とも宗派を問わないつくりだ。
問い合わせは同葬儀社 電話 0138-47-1132へ。


        

「大規模な葬儀にも、20インチ
30インチなどで対応できるでしょう」
と経亀部長=札幌市西区24軒1ー7
シャープエレクトロニクスマーケ ティング道統括営業部

函館発信の業界異端児〜
     たばこ販売から「液晶遺影」まで
 

父の政義さん(79)の代から親交のある経亀部長を招いた展示会は
新商品「液晶くん」のお披露目の席でもあった。開発した張本人が
父の後を継ぎ、葬祭会社、亀田葬儀社(函館市)の社長に就任して
8カ月が過ぎる。「それ以前ですか。10年前までサラリーマンでした
地元の乳製品製造会社で。販売部門で課長まで行ったんですが
先代の相棒だった専務が体をこわして辞められて、それで私、手伝う
ことになったわけなんです。振り返りますれば、何と言いますか
目まぐるしい十年でした」実家は、もともと家電商だった。
亀田郡字桔梗町(現函館市桔梗町)に開業した桔梗家電センターは
昭和40年代(1965?75年)には渡島半島のほとんどの地区に顧客を持ち
当時発売されたぱかりのシャープ電子レンジの販売で全道一の売り
上げを誇った。かたわら、通院先の病院で知り台った仲間三人とと
もに、先代の政義さんは霊枢車の運送業を始めた。身障者手帳を
持つ人たちが作った葬儀屋さん。地域内での評判は広がり、顧客は
増え続けた。会社組織となってからも「カメソウ(亀葬)さん」の
呼び名で地元に信頼を得ることになる。
「ひとことで言うならば、葬儀業界の異端児ですね。何でもやるわけ
なんです。お葬式の最中、『たばこはないのか』。では、たばこ
販売業の許可を取りましょう。『故人の使ってた家具を処分してくれ』
じゃあ、古物商の免許も取りましょう。すべて、こういったような
按配でした」総合リース業、ギフト券販売業、警備業、損害保険代理業
建築資材販売業−。亀葬の定款には、合計23項目の業務分類がずらりと並ぷ。
その中にはもちろん、ルーツの家電販売・工事業も含まれているさらに
まだ30歳代半ばの社長自身、華道池坊の師範、空手の段位 など数種の
資格を持つ。数年の試行錯誤を経て今年8月に販売を開始した省スペース祭壇
「一畳くん」の製作にあたっては、社長自ら図面を引き工具を手にし
花の飾り付けをした。「色も私が決めました。実を申しますと、若いころに
走らせていたシャコタン(車高の低い改造単)の色でして」
現在の社章「おじぎ亀」も、自分でデザインした。
イベントの企画やマスコミ出演も精力的にこなした。津軽海峡沖での
海洋散骨では、道内業界の先陣を切った。社員は入社時の6倍近く
30人弱にふくらみ、年商は七倍の約四億円に達した。
「異端児は、うちだけじゃありませんでしたね。mecの鈴木代表が
まさにそうでしょう」昨秋、札幌市内で開かれた第一回北の葬送
文化展に足を運んだ川道さんは、会場で顔を合わせた
北葬研の鈴木全明代表(53)と、その後も交流を続けた。全道の葬祭
業者を結ぷネットワークの構築には進んで参加し、柔軟な発想と行動力
で同業者たちの信頼を得た。今年七月のmec21発足時には、満場一致で
事務局長に蹴任した。一畳くんをさらに小型化した「半畳くん」
小型供養壇「偲(しの)ぷちゃん」などの商品は、知的所有権を申請すると
ともにmec共通の商品とした。葬儀に使えるギフトカード(金券)
システムなど自社のアイデアも提供し、並行して事務局業務を引き受けている。
「いい商品は、道外の業者も取り入れます。発信元は函館で
あり、北海道。自分の仕事を広げることが、地元への貢献にもなるわけなんです」
テレビを祭壇に組み込んだ発想は、決して奇をてらった
ものではない。「地元にお金を落とすだけではないんです。生活者に
得るものなくば、仕事とは言えません。こうした発想を求めている
人が、少なからずいるということなんです」シャープの経亀部長も
息子同様の若い経営者に素直に感心する。
「これは親切だよね、参列者に対して。特に高齢の人が亡くなった
時にはね、元気な時の映像は感動を呼ぶよ。モニターへの抵抗感も
生んでないし、何よりも発想の根底にやさしさがある」「異端児」は
すでに革命児と目されている。取り組みからあふれる自信の根拠は
何か。儀式をゆだねた遺族たちの声が、貴社長を支えているのだろう。